暖かな光に包まれ,信濃川の河畔の桜も開花のときを迎えようとしている今日のよき日,ご多用の中,新潟青陵学園 理事長 篠田 昭様,新潟青陵高等学校PTA会長 尾﨑 英樹様のご臨席を賜り,ここに令和6年度新潟青陵高等学校入学式を挙行できますことは,このうえない慶びであります。
新入生の晴れやかな姿を見守るために,ご臨席を賜りましたことに,厚くお礼申し上げます。
さて,いまほど入学を許可いたしました286人の皆さん,入学おめでとう。
保護者の皆様,ご家族の皆様おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
全国におよそ4800校ある高等学校の中から,皆さんは,この新潟青陵高等学校に進学することを選びました。
本校は,いまから124年前の明治33年,西暦1900年に創立されて以来,つねに新潟地域の,向上心あふれる生徒の教育を担い,これまで,4万人を超える卒業生を世に送り出してきました。志ある若者がこの学校で学び,心身を鍛え,将来を模索する貴重な時間を過ごし,卒業生された皆さんは現在,地元新潟をはじめ各地,各界で活躍されています。
新入生の皆さんも,多くの先輩たちに続き,中学校時代とは違う,新しい自分を見つけるために,努力を惜しむことなく,充実した3年間を過ごしてください。
さて,アメリカではこれから大統領選挙が行われますが,かつて43歳の若さでアメリカ第35代大統領の座についた,ジョン・フィッツジェラルド・ケネディという人物を皆さんは知っていますか。大統領就任の2年後にテキサス州ダラスで市内をパレード中に銃撃され亡くなったことでも有名です。ケネディは1961年1月,首都ワシントンD.C.で行われた就任演説で,集まったたくさんの支持者の前で次のように語りました。
「国があなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく,あなたが国のために何をなすことができるのかを自らに問うてほしい。※注」
東西冷戦のさなか,これは,歴史的な名演説として長くアメリカ国民の記憶にとどめられることになりました。このフレーズの意味は,人々が国に依存するだけでなく,自分がアメリカという国にどのように貢献できるかを考えてほしい,ということです。
学校も同じように考えることができるのではないでしょうか。
学校は,教科の勉強を通して,時間をかけて試行錯誤することにより,将来,新しい課題に出会ったときに対応できる力をつけるとともに,集団の中でまわりの友人に誠実に接することなど社会性を身につけ,自立した大人に向かっていくための鍛錬の場所です。
私たち教職員は,新入生の皆さんを含め,新潟青陵高校のすべての生徒について,日々の勉強や将来の夢の実現のために,寄り添いながら精一杯努力しますが,先が見通せないほどの変化の大きな時代を生きる皆さんは,受け身だけではなく,皆さんの先輩や未来の入学生である後輩のため,新潟青陵高校の発展のために,何ができるのかを考えてください。
つまり,「学校があなたのためになにをしてくれるかを問うのではなく,あなたが学校のためになにをすべきなのか,なにができるのか」を自らに問い,実践してもらいたいと思います。このことが,124年の新潟青陵高等学校の歴史と伝統を継承し発展させることにつながっていくと考えています。
最後に,保護者の皆様,ご家族の皆様に申し上げます。新入生であるお子様にとってこれからの高校3年間は,人間的な成長を図りながら新しい自分を発見し,大人としての自分の将来像を描く自立への旅となります。その途上は,楽しいことばかりではなく,苦しいこと,嫌なことにも直面することでしょう。そんなときには,人生の先輩として,あるときは厳しく,あるときは冷静に,またあるときは温かく,見守って適切な助言をお願いいたします。学校では,先ほども申し上げましたが,私たち教職員全員,本日入学を許可いたしました286人の生徒諸君の教育に全力をあげることをお約束いたします。
新入生の皆さんが,今日の喜びと決意を忘れることなく,充実した高校生活を過ごし,立派に成長されることを願って,式辞といたします。
あらためて,みなさん,入学おめでとうございます。
令和6年4月5日
新潟青陵高等学校長
石井 充
※注
My fellow Americans, ask not what your country can do for you,
Ask what you can do for your country.